アニメ

二次元アイドルコンテンツの「つづき」を描くというはなし

投稿日:2017年10月10日 更新日:

2017年秋クールに、「今」を代表するアイドルアニメが揃い踏みしているのです。

  • アイドルマスター SideM
  • ラブライブ!サンシャイン!!
  • Wake Up, Girls!新章

アイドルマスターはシンデレラガールズ劇場もやってますが、まぁ今回はアイドルマスターの話がしたいわけではなく、残り2つのシリーズの方です。

「監督を変えてアニメの続編をやる」

いまアイドルアニメは監督チェンジがブームです。
WUGが「ヤマカン降ろし」で大騒ぎしている一方、ラブライブ!サンシャイン!!もμ’sを描いた京極監督からAqoursを描く酒井監督へと平和裏にチェンジしています。
舞台裏の事情は違うにせよ、監督が変わったという点では同様です。
では、WUGとラブライブ!サンシャイン!!のアニメには何が起きているのでしょうか。

キャラクタを一新しつつ前作を踏襲するラブライブ!サンシャイン!!

ラブライブ!サンシャイン!!は前作から舞台・キャラクターを一新し、沼津を舞台として新たなアイドルグループAqoursを立ち上げました。
前作から看板だけを引き継いでほぼ新規プロジェクトを立ち上げたと言っていいでしょう。
その一方、TVアニメ一期のストーリーは、Aqoursがμ’sの模倣をしそれを超えるという形で前作へのリスペクトを強く感じるものとなっています。また、「学校の廃校を乗り越える」「メンバー集結までのドラマ」など、前作を踏襲した話作りがなされました。
今クール放送中の二期第一話も改めて廃校というテーマを掲げ直し、「ラブライブ!シリーズのTVアニメ」が持つ空気が変わり無いものであることを見せつけてくれています。

同じキャラクタが全く新しい動き方をするWake Up, Girls!新章

Wake Up, Girls!新章は打って変わって、同じWUGが主人公、同じ仙台が舞台と、ストーリー面では純粋な「続編」に見えます。
しかしその内容は前作とはかなり異なり、キャラクターデザインを一新したことから始まり、前作の持っていた「嫌らしいほどの生々しさ」が鳴りを潜めたり、ライブシーンを全編3DCGで流し切ったりと、「WUGの舞台とキャラクターを使った全く別のアニメ」という雰囲気があります。

どちらがより「正解」に近いか

どちらのプロジェクトの方針も、幾人ものメインスタッフが検討に検討を重ねて出した回答であることは間違い無いのです。
その上でどちらの方針にも賛否があり、ラブライブ!サンシャイン!!は「また廃校かよ」と罵られ、WUG新章は「こんなのWUGじゃない」と罵られています。
どちらもファンの多いアニメなので、すべてのファンに受け入れられる新作は理想論でしかなく、多少の悪評が出るのは仕方のないところです。
しかし、お互いほぼ真逆のアプローチを取っていながら両者ともに賛否に割れているというのは中々面白いところであり、結局「多数派のファン」が何を望んでいるのかの答えというのは出せないものなのかな、と思ったりします。

個人的な一話の感想

ラブライブ!サンシャイン!!二期

一話でのライブシーンを廃してストーリーに徹したことと、そのためにOPEDへの注目が否応なしに集まったこと、そのあたり上手くできているな、と思いました。
全編通して会話が芝居がかっていたり、「ドラマティックなシーン」の演出のためにキャラクターが多少ウソ臭い動きをする点は花田先生の十八番かなぁ、と思ったりもしますが、それも含めて「ラブライブ!らしさ」かな、と感じます。

Wake Up, Girls!新章

「これまでとは違う作品が始まった!」というワクワク感が強いです。陰鬱とした空気が薄かったり、社長がまた逃げるかと思いきや逃げなかったり、ライブパートがしっかりと作られているという点に対して。
これまでのWUGのTVシリーズや劇場版は、昨今のアイドルアニメブームに対するカウンターとしてのナマナマしさが売りだったように見えたんですが、今回はかなり「ふつうのアイドルアニメ」に寄せてきたように思います。
世間的には賛否のあるところですが、自分としては「声優アイドルユニットWake Up, Girls!の名前を関するアニメ」がふつうのアイドルアニメであることに違和感はないです。

あと、ライブパートに関して

正直ぶっちゃけて言うと、ラブライブ!サンシャイン!!にしても、Wake Up, Girls!にしても、どちらのライブパートも「大したことない」と感じます。
冷静になって考えれば当然なんですけど、たかが深夜アニメ1クールの作品が、数年間ずーっと3Dライブパートを毎週やり続けている作品に叶う道理が無いんですよ。質でも量でも。そこに注力して人員や予算を割り振らない限り。
だから逆に、「それなりに頑張っている」という点でWUGのライブパートは賞賛に値するものが出てきていると思いますし、ラブライブ!サンシャイン!!のOPも手堅く作ってきていると思います。反感を買う言い方で言えば、上から目線で。
もちろんメインターゲット層は「毎週3Dライブパートがある番組」に興味が無いでしょうし、そういう人たちがどう感じるかは自分の範疇外ですけど。

WUG新章のライブパートは超広角レンズでガッツリ歪ませるカット多いし線の処理が綺麗だし、肥えた目でも見どころのある良いライブだったんだからな!腐った目で「ライブが残念」とか言うやつ全員表に出ろ!

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